今林動物病院


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猫のガリちゃん

 今回の記事には手術中の画像が含まれます。苦手な方はご注意ください。

 
 少し前の話になりますが・・・

 ある日、急に元気がなくなり、下痢をした・・・と来院したのは猫のガリちゃん。

 来院した時には体温が下がり、意識も朦朧としている状態でした。
飼い主さんにはガリちゃんがこんな風になった原因が全く解らないとのこと。
見た目では大きな変化はないようでしたが、お腹を触ってみると・・・下腹部に
変なふくらみが・・・。嫌な予感がしつつレントゲンを撮ってみると・・・

 その予感の通り、ガリちゃんの腹筋は裂けてしまっており、本来腹腔の
中にあるはずの腸が皮下に出てきてしまっていました。お腹のふくらみは
皮下に出てきた腸のふくらみだったのです。
さらに、お腹の皮膚が広範囲にわたって内出血で紫色に・・・。

 そうです、ガリちゃんは交通事故にあっていたのです。

 外に行く猫ちゃんに多いトラブルはやはりケンカと交通事故。ケンカによる傷も
わかりにくいことが多いですが、交通事故にあっても外見では大きな異変が
ないことも多く、飼い主さんが事故にあったことに気づかないこともよくあります。

 ガリちゃんはそのまま入院となり手術をすることに。
 麻酔をかけ、ヘルニア部分の皮膚を切ってみると・・・そこは思っていたよりも
ひどい状態になっていました。

 右後肢の付け根の筋肉が大きく裂け、腹腔内から腸が右後肢に沿うような形で
出てきていました。それだけならまだよかったのですが、どうやらガリちゃんは
事故にあってからしばらく時間が経過していたようで、 裂けた筋肉の周囲から
右後肢にかけての皮下組織は浮腫をおこしてドロドロになっており、組織自体の
色も赤黒く変色して壊死しつつありました。
 さらに、それよりもひどかったのは脱出していた腸の組織がすでに腐っており、
破れた腸から便がお腹の中へ漏れ出してかなりひどい腹膜炎を起こしていたのです・・・。
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写真は腐っていた腸です。本来の腸はきれいなピンク色をしているのですが・・・。

 さすがの院長も「これはもうダメかも・・・」と思うくらいひどい状態でしたが、
このままだとダメになるだけ。もし助からなくてもできるだけのことはやろう。」と
腐った腸を切り取り、まだ大丈夫な部分をつなぎ合わせ、お腹の中を徹底的に
洗浄し、大きく裂けた筋肉を何とか寄せて縫合し・・・と当院では珍しく2時間を
超える大手術になりました。


 なんとか手術を乗り越えたガリちゃん。しかし、元気はなく、ごはんも食べず・・・
やはりこのままダメかも・・・と思いながら数日・・・少しずつ水を飲むようになり、
ごはんを食べるようになり、元気を取り戻し・・・そして、大きな傷の抜糸が
終わるころにはすっかり元の調子を取り戻していました!!
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写真は抜糸前のガリちゃん。大きな傷ですが、経過は良好で、紫色になっていた皮膚はきれいに戻っています。

 一時は本当に命が危ない状態でしたが、何とかそれを乗り越えたガリちゃん。
外に行くときは車に気をつけてね!!
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 当院では「もうダメかも・・・」と思うような状況でもあきらめずに治療をして改善や
回復がみられた症例がいくつもあります。もちろん、全ての症例が上手くいく訳では
ありませんが、今回のガリちゃんは「あきらめないことはとても大事なこと」だと
改めて痛感した症例でした。
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by imabayashi-ah | 2011-06-18 17:09 | 症例