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今林動物病院


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猫白血病のゴンタくん

先日はるばる岡山から来院したのはアメリカンショートヘアのゴンタくん。8月に白血病に感染していることが分かり、抗癌剤や輸血などの治療を受けましたが、やはり貧血が進行し、徐々に元気がなくなっているということで猫の白血病に対する免疫療法をホームページで知った飼い主さんからお問い合わせをいただきました。

聞いてみるとすでに輸血を二回、抗癌剤を一回使用しており、これ以上の治療は更に強い抗癌剤しかないと言われたそうです。毎日ステロイドを内服もしていました。

確かに輸血を繰り返し行なうことは勧められず、抗癌剤も使うのならば血液の状態をしっかり把握して慎重に選択する必要があります。

そこで相談の上、遠方ですが頑張って来院していただき診察することになったのです。
幸いご主人の実家が八幡だったのでゴンタくんは数日入院してできるだけ治療に専念できるようにしてもらいました。

まず行なったのが血液検査。通常7000~15000くらいある白血球の数値は5000しかありません。貧血をあらわす数値も正常の3分の1ほど。血色が悪く舌や鼻が真っ白です。
そして白血病の診断の上で重要なのが血液の細胞の種類です。白血球の種類は特に診断のかなめになりますし、赤血球の形態は貧血が改善するものかどうかをよく表します。初診の時点では白血球減少と非再生性貧血が重度の骨髄抑制状態であることが判明しました。貧血が原因で心臓もかなり衰弱しています。

そこで骨髄を刺激して白血球や赤血球を増やすエリスロポイエチンという薬やインターフェロンや丸山ワクチンなどの免疫療法、血液細胞の膜を安定化するセファランチンなど、注射本数にして7本の独自の治療を行なうことに。

血液が増えだすまでの時間を楽にするため、輸血のような免疫反応などの心配の少ない人工血液(オキシグロビン)も使用しました。

猫白血病のゴンタくん_b0059154_23125134.jpg

アメリカではイヌで輸血の代替治療として実績がある人工血液です。

猫白血病のゴンタくん_b0059154_23131499.jpg


翌日以降、血色もすこし改善し、食欲もでてきたゴンタ君。4日間の入院生活を経て岡山に帰っていきました。継続治療をするのに地元の病院では同じ薬を持っているところはまず無い為、自宅で飼い主さんに注射をしてもらいながら頑張っています。(もちろん当院の指導のもとで)

白血病の発症例ではその予後の悪さから治療を投げ出す飼い主さんもいる中、ゴンタくんの飼い主さんは「家族だから・・・できることは全部してあげたい」と、一生懸命治療に取り組んでくださっています。白血病になったのは残念だけど、こんな家族に守られて幸せ者だね~、ゴンタくん。
by imabayashi-ah | 2007-11-01 23:21 | 症例