今林動物病院


気まま更新の診療日誌です。

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Mダックスのレンちゃん

ワンワン!!ワン!ワン!
外から響くその声で、私は誰が来たのかがわかります。
この声は、レンちゃんかな?

「うるさいよ、レン!」
と言う飼い主さんと一緒に現れたのは、Mダックスのレンちゃんです。
病院が怖くてたまらないようで、車を降りてから病院にいる間はいつも吠えています。
病院が怖い、というよりも、院長のことが怖いようですが(笑)。

レンちゃんが当院に来院されたのは、1月上旬のこと。
突然下半身が麻痺した、ということで来られました。
来院当初のレンちゃんは、後肢が完全に麻痺していて、力が全く入らずブラブラの状態でした。
排尿、排泄のコントロールもできずに、粗相をしてしまうことに、飼い主さんも、レンちゃん自身も戸惑っている様子でした。
レンちゃんはどうやら、椎間板ヘルニアになってしまったようです。

ところでみなさん、『椎間板ヘルニア』が、どのような病気なのかご存知ですか?
私も言葉ばかりはよく耳にするものの、病院に勤めるまでは詳しくは知りませんでした。
ここで少し説明を・・・027.gif
人間も、犬も、背椎(脊骨)の後ろに脊髄と呼ばれる神経が通っています。
この「背椎(脊骨)」はたくさんの「椎骨」という骨が連なってできています。
椎骨と椎骨をつないでいるのが、「椎間板」と呼ばれる軟骨です。
椎骨の間に椎間板があることで、運動時の背骨に与えられるショックが和らげられ、なめらかな動きができるのです。
しかし、過激な運動をしたり、背椎に強い力が加わったり、老化によって骨が弱くなると、椎間板が脊髄を圧迫してしまうことがあります。
これが『椎間板ヘルニア』を起こしている状態です。
脊髄が圧迫されると、痛みを生じたり、神経麻痺を起こして、部位によっては前肢や後肢が麻痺したりします。
  
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← 脊椎の簡単なイメージ図です。
ピンクに塗られた部分が脊髄です。
黒く塗りつぶされたA、Bが椎間板です。
Aは正常。
Bは椎間板が脊髄を圧迫しています。これがヘルニアの起こった状態です。



レンちゃんは早速、レーザー治療を開始しました。
このレーザー、当院の椎間板ヘルニア患者の治療に非常に高い実績があるのです。
レーザーを当てられながら、「何すんだよ」と言わんばかりの表情のレンちゃん。
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しかし、連日レーザー治療を続けるものの、レンちゃんの状態はなかなか改善されませんでした。
不安がる飼い主さんに、院長は、福岡動物診断・健診センターでのCT検査をすすめました。

以下が、脊髄に造影剤を注入してCT検査を行った結果です。
これが正常な部位の画像です。
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そして、ここがレンちゃんのヘルニアが起こっている部分の画像です。
b0059154_18355548.jpg

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矢印の部分の、椎間板が突出していることがわかります。
突出した椎間板に脊髄が圧迫されているため、ここからは造影剤も通過しなかったとのことです。
CT検査の結果、レンちゃんは胸椎の11~12の間が圧迫されており、これより後ろの神経が麻痺していることがわかりました。
重症のヘルニアが起こっていることが判明したレンちゃん。
「レンはよくなるんでしょうか?」と不安でいっぱいの飼い主さん。
私は「諦めたら終わりですよ。一緒にがんばりましょう!」と言葉をかけることしかできませんでした。


検査から数週間・・・レンちゃんと飼い主さんはヘルニアと闘っています。
最近、連日のレーザー治療と飼い主さんの努力の成果が少しずつ出始めています。
完全麻痺を起していて感覚のなかったレンちゃんの後肢でしたが、足をつねると〝痛み”を感じるようになり、つねられるのを嫌がるようになりました。
そして、ブラブラだった後肢には少し力が入るようになり、ふとした瞬間に自分の力で立てるようになりました。
院長から逃げ出したいあまりに立ち上がるレンちゃん!!すごいぞ!!(部分的に剃られているのは、CT検査のため必要な処置だったようです・・・)
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一時期は垂れ流しのような状態だったおしっこも、外に連れていくと自分でできるようになったとのこと。
すごいね、レンちゃん!!
そして、飼い主さんの努力も並大抵のものではありません!!
やっぱり愛は奇跡を起こすんだな、としみじみ感じる今日この頃。
当院には今日も、飼い主さんの溢れんばかりの愛情に包まれた動物たちが来院しています。



現在、当院で重症の椎間板ヘルニアと闘っている患者さんは、レンちゃんを含め3頭。
この子たちも、飼い主さんの努力と当院での治療の甲斐あって、ゆっくりではありますが良くなってきています029.gif
この2頭のワンコの回復ぶりも今後紹介していきますね006.gif
不慣れな私のゆっくり更新ですが、どうぞお楽しみに016.gif
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by imabayashi-ah | 2008-02-23 19:01 | 症例