今林動物病院


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試験的開腹→胃切開手術へ

M・ダックスのガオンくんは2週間前にサラダについてるツナをプラスチックのカップごと食べてしまいました。その日からずっと吐き気に悩まされていましたが、食欲はあったので飼い主さんも気になりつつ様子をみていました。

それが先週の土曜になり、数回吐いて元気・食欲がなくなったため来院しました。

レントゲンを撮り、バリウム造影をすると胃腸の動きが悪く、重度の胃炎を起こしていることが判明。はっきりとはしませんが、カップを疑わせる怪しい影も映っています。

まずは胃炎の治療を集中的に行い、本日試験的開腹をすることになりました。

試験的開腹というのは、原因がはっきりしない症例に対して試験的にお腹を開いて原因を探る手術のこと。聞きなれない言葉かもしれませんが、動物の医療の世界では一般的に行なわれています。人間のように徹底的に検査することが難しい動物では、止むをえない処置なのです。

今回のガオンくんの場合も、原因を追究しようとすれば、内視鏡などで確認はできますが、異物が大きかったりひも状のものだと、内視鏡での回収ができないので改めて麻酔をかけて開腹する必要がでてきます。存在自体が確実でない異物や腫瘍の確定診断のため、とても意義のある重要な手術です。

胃を隅々まで探ると、奥の方にカチッとした感触がありました。(院長談)
慎重に切開して鉗子でひっぱると、胃の中から複雑に折りたたまれたプラスチックカップがでてきました!

摂取して2週間すこしたっていましたが、若干もろくなり一部千切れている程度でまだまだしっかり形をとどめています、これが胃の中にずっとあることで酷い胃炎をおこしていたことがはっきりしました。

試験的開腹はこの時点で胃切開手術(根本治療)へと切り替わり、無事終了しました。

かくしてガオンくんの異物騒動も一件落着♪数日は流動食だけのご飯だけど、我慢してね♪

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by imabayashi-ah | 2007-06-23 00:09 | 症例

殺鼠剤恐るべし・・・

前回の日誌でご紹介したハチちゃん、今日無事四国へ帰っていきました。

さて、ハチちゃんとほぼ同時進行で通院していたチワワのコロちゃん。
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コロちゃんはネズミ駆除用に置かれた殺鼠剤を食べてしまい、一週間後から大変な出血傾向になり生死をさまよった症例です。

食べてすぐ、病院に連れて行ったそうですが、そこではなぜか「大丈夫」と言われ、飼い主さんも大丈夫なのかな~と思っていた一週間後からが大変でした。

殺鼠剤にはワルファリンという血液凝固阻止作用を持つ薬が入っています。殺鼠剤を食べると血が止まりにくくなるため、全身いたるところで出血が起き、失血によりネズミは死んでしまいます。コロちゃんはチワワでもかなり体格が小さい方・・・1kgすこししかありません。しかも結構な量を食べてしまったようです。

胸、お腹の皮膚に大きく広がる内出血・・・ぐったりとして元気がありません。
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目に見えるのは皮下出血だけですが、問題は体の中で起きる出血。内臓出血や脳出血を起こすと即、命に関わる状況です。

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貧血を起こしているのは血色をみても明らかですが、検査のために採血をすることすらできません。(刺したところから出血が止まらないため)

治療法は、止血剤、ビタミンKの投与。赤血球の膜を守る為にセファランチンも使用しました。
これらの薬を投与して、出血が治まるのをひたすら待ちます。もちろん、出血の危険を減らす為、絶対安静です。

一週間ほど予断を許さない状態が続きましたが、先週末来院した時には出血跡もきれいにひいて、元気も挽回していました。もう一安心です。

最近では殺鼠剤自体を使用することが減っているのでこんな事故も減りつつありますが、ネズミが食べるくらいですからワンコにとっても美味しいのでしょうね・・・食いしん坊なワンコは思ってもみないものを食べてしまうことがありますので気をつけてくださいね。

例をあげると・・・
●ドッグフードを一袋  ●使用済みてんぷら油を鍋一杯 ●サラダに入ったツナをプラスチックのカップごと  

実は、上にあげた例はここ数日来院したワンコが食べたものです。

ドッグフードの子は一時的に体重が700gも!!増えただけですみましたが、油の子は嘔吐・下痢と急性膵炎の疑いで入院することに(幸い明日退院できますが)。カップを食べた子は来週あたり開腹手術になるかもしれません・・・

また日誌でご紹介することになるでしょうね(´Д`;;)
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by imabayashi-ah | 2007-06-19 23:53 | 症例

はるばる四国は宇和島から・・・

来院したのはビションフリーゼのハチちゃん。←今日飼い主さんから訂正があって一応トイプードルだそうです(汗)ゴメンナサイ!
大型犬のロットワイラーに噛みつかれ、首に大怪我を負いました。地元の病院で手当を受けドレーン(膿を出す管)を入れるなどの処置を受けましたが、傷が化膿し始め、元気・食欲共に廃絶した状態に・・・。当院の患者さんからのご紹介で、お電話で相談を受けました。

状況がかなり悪いのはわかりましたが、来院するのにも危険なほど弱っているようです。いったんは近医での治療をお勧めしたのですが、飼い主さんはどうしても受診したいということで半ば強行的に連れてこられたのです。

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初診時のハチちゃん。首に巻かれたタオルには大量の血膿が付き、体を動かすたびにボトボトと流れ出すほど・・・・うなだれた首を動かすことすら出来ません。

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レントゲンを撮ってみると、傷の深部でガスが発生していることがわかりました。ドレーンが入ってはいますが、細菌の勢いが強く、化膿が抑えられていないようです。

早速、抗生物質を3種類(!)併用し、細菌をしっかり叩く治療を開始しました。前回も登場したセファランチンも強力な助っ人です。

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組織破壊を抑え、修復を早める効果があります。

そして、難治性の化膿の治療に用いる、天然の抗生物質と呼ばれるハーブの一種、ティーツリーオイルのメディカルA。これを傷のなかに注入します。

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仕上げは、組織の血行をよくして痛みや炎症を取り除くレーザー治療です。

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3種類の抗生物質、セファランチン、メディカルA、レーザーという4種類の治療により、ハチちゃんの傷はぐんぐん良くなりました。首も動かせるようになり、食欲も復活!

噛み傷や深部の化膿には一種類の抗生物質、ドレーン留置というのがスタンダードな治療ですが、問題は、それで改善しない化膿です。

当院では抗生物質の多剤併用、セファランチンによる組織保護、ティーツリーオイルの殺菌効果を組み合わせ、西洋医学的な治療では限界のある症例に対して独自の治療法で成績を上げています。

ハチちゃんの飼い主さんは、「もうダメかもと思いながら九州まで連れて来ましたが、良かったです!」と喜ばれていました。一緒にやってきたナナちゃんのしこりの手術も行ない、もうしばらくこちらに滞在して治療を続ける予定です。

もっと元気になって四国に帰れるように頑張ろうね!ハチちゃん♪
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by imabayashi-ah | 2007-06-15 00:02 | 症例

草むらにご用心!!

ここ最近は夏日を思わせる好天続きで、いつものお散歩コースの草も急成長してきましたね。

そこで問題となるのが、草むらに潜む怖~い敵・・・
一般的なとこから言うと、ノミ、マダニなどの寄生虫。暖かくなると活動が活発になり、今からがシーズンです。

そして、時に蜂やムカデに遭遇することもあるでしょうが・・・、最も怖いのが「マムシ」です。
咬まれたとしても草むらの中なので、蛇の姿を確認できることはほとんどありませんが、キャン!と鳴いてしばらくの間に咬まれたところがみるみる腫れて来ます。初日よりも日を追うごとに酷くなる傾向があります。治療をしないでいると、蛇毒で組織が破壊され、大変なことになってしまいます。咬まれ所が悪いと命に関わることもあります。山に限らず、北九州では割と都市部にも生息しているようなので注意してくださいね!

先日から、マムシが原因と思われる咬傷で来院した子が続いたのでご紹介します。


ビーグルのハイジちゃん。前日にはなかった腫れが急に出現して、驚いた飼い主さんが他院へ連れて行きました。しかし、GW前で「腫瘍の疑いがあるので連休明けに病理検査をしましょう」と帰されてしまったそうです。そうしているうちにも傷はどんどん悪化するばかり・・・ついにはテニスボール大の赤黒いしこりになってしまい、慌てて来院されたのです。

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初診の時のハイジ。患部はどす黒く変色して出血も続いています。痛さのせいか元気もありませんでした。早速組織破壊を防ぎ、マムシ咬傷の治療では何十年も高い実績を出しているセファランチンという植物由来のアルカロイドや、強肝剤、ステロイド、抗生物質を中心とした治療を開始しました。

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治療開始3日目。病変はそれ以上進行することなく、腫れが小さくなっています。

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治療開始から一週間目位。ほぼ腫れは引き、咬まれた穴のみが残りました。
その後医療用ホチキスで傷を止めて、今はキレイに完治しています。

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2例目はラブラドールレトリバーのボギーくん。お父さんと山に散歩にいくのが日課です。
特に鳴き声は聞かなかったそうですが、散歩から帰ると肘より下が反対の足の2倍くらいの太さになっています。足を付くのを痛がり、骨折でもしたんじゃないかと心配して来院されました。

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念のためレントゲンを撮ってみましたが、骨格には異常はありません。しかし、肘の周囲の組織が触ってもしこりがわかるほどひどく腫れています。足の付け根を咬まれたらしく、神経麻痺と血行障害も起こしているようでした。

ボギーくんも上のハイジと同様の治療を行ないました。来院が早かったので翌日にはかなり腫れも引き普通に歩けるようになりました。

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肘のしこりもすっかり取れました。(脱毛しているところは座りダコです)

ホームページや日誌でも何度かご紹介してきたセファランチンですが、マムシや昆虫の咬傷の特効薬です。抗生物質やステロイドだけでは対応できないこれらの咬傷にも、すばらしい効果を発揮します。聞きなれない薬ですし、一般の病院ではほとんど使用されないのでご存知の方も少ないのですが、日本の医薬品のなかでは半世紀以上の歴史がある最も古い薬の一種なのです。セファランチンの当院での使用実績はこちらこちらをどうぞ!

来週はこのセファランチンの臨床応用等研究結果が発表されるアルカロイド研究会が東京で開催されます。今回も院長は新しい情報を取り入れるべく参加する予定です。
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by imabayashi-ah | 2007-06-05 23:47 | 症例