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今林動物病院


気まま更新の診療日誌です。

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ATPの底力

今日はもともと3件の避妊手術の予定が入っていました。昨日から用意して準備万端!だったのですが・・・朝一番、電話がなりました。

昨日から産気づいたミニチュアピンシェルのハナちゃん、床を掘る巣作り動作はするけれど陣痛も弱くいっこうに産まれないとの事。なんだか嫌な予感が・・・

レントゲンで確認してみると大きな胎児が4匹、お腹の中にひしめき合っています。しかも、悪いことにそのうち一匹の胎位が異常なのです。出口の方に向かわず、反対側の子宮に頭を突っ込んだ状態・・・エコーで確認しても殆ど心拍が確認できないくらい弱っていました。子宮上部の胎児はまだ心拍も元気だったので、念のためハナちゃんに抗生物質や皮下補液、心臓に対するビタミン剤(ATPやビタミンB1、カルニチンなど)を注射して、急きょ予定をずらして帝王切開手術の準備に入りました。

注射後2時間くらいたった頃、様子を見に行ったスタッフが見たものは、なんと無事生まれておっぱいを探している赤ちゃん!

その後も、3時間くらいの間に次々と生まれ、結局4頭とも自力で出産できました。

母犬の疲れ、胎児の衰弱と手術一歩手前の状況だったのに、副作用のないビタミン類の投薬が思わぬ効果を発揮してくれたようです。

使用したビタミンの主役、ATPは理科の授業でもおなじみのアデノシン3リン酸という物質です。動物の生命のエネルギーの源となる物質で、心筋の保護作用や優しい強心作用があります。筋肉の収縮にも欠かせないものですから、子宮の収縮にも効果があったのでしょう。

当院では心臓病の患者さんや、衰弱している患者さんには殆ど使用しますが、出産時にもこんなに効果があったとは・・・・今更ながら驚きです。

昼過ぎには母子共に元気に退院していきました。

そんなこんなで連休の中日も慌しく終わり、明日からは院長はグアムへ薬品購入の旅へ・・・くれぐれも遊びにいくのではないということを言いたいらしく(笑)動物たちのため、嫌いな飛行機にいやいや乗り、日本では手に入らない貴重な薬を手に入れるために行くんだということをアピールしていました。(実際そうなんですよ。ほんとうに!)

ATPの底力_b0059154_155047.jpg

by imabayashi-ah | 2006-03-21 01:01 | 今日の出来事