一ヶ月ぶりに来院したミニチュアダックスのベルちゃん、おちんちんの横が腫れているということで触診してみると・・・
ぶよぶよした腫れですが、強く圧迫すると腫れが引き、また手を離すと膨らんできます。
確認のためにレントゲンを撮ってみると、腸に流れた造影剤が下腹部の腫れのなかに流入しています。これは・・・鼠径(そけい)ヘルニアのようです。
もともとあしの付け根の鼠径部には筋肉の隙間があり、神経や血管が出入りしています。先天的にここの閉じ方が甘かったりすると、お腹に強い圧力がかかったときに裂けてしまうことがあります。ベルちゃんの場合は去勢手術していなかったので、持続的な男性ホルモンにより徐々に筋肉が薄くなっていたのも原因しているでしょう。
この鼠径部が裂けると、お腹の中の腸管や膀胱、脂肪などが穴から皮下に出てきてしまい、結果膨らんで見えます。稀に中で膀胱や腸管がねじれて戻らなくなると命に関わることもあるのでヘルニアが大きければ早期に手術をお薦めしています。
今回ベルちゃんは、昨日発見の今日手術というスピード解決でした。
というのも、ベルちゃんのヘルニア孔は大きく、圧迫でも完全に戻すのが難しいほど・・・そしてヘルニアから小腸のかなりの部分が脱出してしまっていたためです。腸の違和感もあり、食欲も落ちていたので即手術に踏み切りました。
あ~、やっとお腹がすっきりしたよ・・・
動物にも色々なヘルニアがありますが、鼠径ヘルニアは比較的珍しいほうかもしれません。一番多いのは臍ヘルニアです。避妊手術をしていて偶発的に見つかることも多いし、症状はなくても“でべそ”の子は立派な臍ヘルニアです。仔犬で孔が小さければ自然に閉じることもありますが、大きいものは手術で孔をふさぐしかありません。
何を隠そう、この鼠径ヘルニア、私の娘(人間)も2才のときに咳のし過ぎで発症し、手術した経緯があるので、今日のベルちゃんも他人とは思えず・・・・飼主さんの心配が痛いほど解りました。心配で心配で泣いていたお姉ちゃん、ベルちゃんよく頑張ったよ~!(手術した院長も!)
そして明日はニャンコの腹壁ヘルニア(腹筋の裂けによるヘルニアです)の手術が入っています。二日続けてヘルニア手術(苦笑)・・・こちらの様子も明日報告いたします!
by imabayashi-ah
| 2006-04-10 23:44
| 症例
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